【2026年 保険業法改正の方向性】乗合代理店が押さえておきたい「比較推奨販売」見直しのポイント
2026年頃を目途として検討されている保険業法・監督指針の見直し案では、 特に乗合代理店における「比較推奨販売」に関する考え方が、これまでよりも具体的に示されています。 本記事では、公表されている案をもとに、現場の実務目線で想定されるポイントを整理し、 代理店としてどのような準備を検討するべきかをまとめています。
1. 今回の見直し案は「比較推奨販売」の透明性・説明責任を高める方向性
見直し案の背景には、顧客本位の業務運営を一層徹底していくという方向性があると考えられています。 特に、二以上の所属保険会社等を有する保険募集人(いわゆる乗合代理店)に対して、 次のような点がより明確に意識されると受け止められています。
- どの保険会社の商品を取り扱っているのかを、冒頭で分かりやすく示すこと
- 複数の商品を扱う立場として、これまで以上に顧客の最善の利益を勘案して提案すること
- 比較・推奨の理由を、客観的な基準に基づいて説明すること
- 比較・推奨のプロセスを確認・検証し、必要に応じて改善していく体制の整備すること
こうした流れから、「なぜこの商品を勧めたのか?」を、第三者から見ても理解しやすい形で説明していく必要性が、 これまで以上に高まっていくと考えられます。
2. 「比較」と「推奨」が分けて整理されるイメージ
見直し案では、乗合代理店に求められる行為が、大まかに次の二つに整理されているように読み取れます。
- 比較説明:複数の保険契約の内容を比較して説明すること
- 推奨販売:比較可能な同種の商品から、顧客の意向に沿って商品を選び、提示・推奨すること
この捉え方が今後も維持・明確化されていく場合、単なる情報提供にとどまらず、 特定の商品を推奨する場面においては、より高い水準の説明が期待されます。
3. 推奨理由は「客観的な基準」に基づく説明が重視されていく可能性
見直し案では、商品の推奨理由について、 「商品特性や保険料水準などの客観的な基準や理由等」に基づいて説明することが重視されているように見受けられます。
実務上は、次のような観点が意識されていく可能性があります。
- 保険料水準(総保険料、月額保険料、更新後の保険料など)
- 保障内容(入院給付、手術給付、通院、先進医療など)
- 給付条件(支払事由、待機期間、免責期間など)
- 特約の有無・内容(がん特約、介護特約、通院特約など)
- 保険期間・更新の有無、解約返戻金の有無など
「人気だから」「よく売れているから」といった抽象的な理由のみではなく、 顧客の意向と商品特性を結びつけた説明を心がける必要性が高まっていくだろうと予測できます。
4. 代理店側の事情による商品誘導への目線が、より厳しくなる可能性
見直し案では、形式的には客観的な説明をしているように見せながら、 実質的には代理店の都合で商品選定を行うことが懸念事項として取り上げられています。
例えば、次のようなケースが問題視され得るとされています。
- 手数料水準が高い商品に顧客を誘導するための比較・推奨
- 特定の保険会社との資本関係や便宜供与を優先した商品選定
- 本来の推奨理由を告げず、別の理由だけを強調して説明する行為
各保険会社間の「公平・中立」を掲げる場合には、 こうした代理店側の事情に左右されない透明性の高い商品選定が、 より強く求められていくことが予測されます。
5. 顧客の意向が曖昧なままの提案は、リスク要因となり得る
見直し案では、顧客の意向が不明確な場合であっても、 顧客が重視し得る事項を例示するなどして、可能な限り意向を把握する努力が求められると解釈されています。
そのため、次のような運用は、今後見直しの対象となる可能性があります。
- 「とりあえず医療保険を」というような大まかなニーズのみでの商品提案
- 顧客が本当に重視している点(保険料・保障範囲・期間など)を深掘りしないヒアリング
- 意向把握の内容を、具体的に記録していないケース
今後は、「どのような意向を確認し、それに基づいて商品を選んだのか」を、 説明・記録の両面で残しておくことが、より重要になっていきます。
6. 比較・推奨に関する「体制整備」と「証跡管理」がテーマに
見直し案は、個々の担当者レベルの話にとどまらず、 代理店としての体制整備や運用の検証にまで踏み込んだ内容となっていると読み取れます。
今後の検討にあたり、次のような取り組みが論点になると予測できます。
- 比較・推奨の基準や理由を、社内規則・マニュアルとして整理しておくこと
- そのルールにもとづき、募集人教育・研修を継続的に行っていくこと
- 比較・推奨の記録や証跡を一定期間保存するためのルールを検討すること
- 保存された証跡をもとに、比較・推奨の実施状況を定期的に確認・検証する仕組みを整えること
- 必要に応じて、比較・推奨の方法やルールを見直し・改善していく体制を意識すること
これらは、今後の最終的な制度設計や運用方針にも影響を受ける可能性がありますが、 いずれにしても継続的にPDCAを回していく発想が重要なキーワードの一つになります。
7. 乗合代理店が今から確認しておきたい観点
制度の詳細や最終的な運用方針は今後の動向を踏まえる必要がありますが、 現時点から次のような観点で自社の状況を振り返っておくことで、 今後の対応検討がしやすくなります。
- 顧客の意向をどこまで、どのような形で記録できているか
- 比較・推奨のプロセスに、属人的な判断が入りすぎていないか
- 推奨理由を、客観的な基準で一貫して説明できる仕組みがあるか
- 比較・提案内容を証跡として残すルールと運用が整っているか
- 本部やコンプラ部門が、現場の提案プロセスをモニタリングできているか
こうした点を整理しておくことで、自社にとっての「今後の優先課題」が見えやすくなっていくのではないでしょうか。
8. AS-BOXなら、比較・推奨・証跡を一気通貫で管理できる
AS-BOXは、乗合代理店向けの保険商品比較・提案ツールとして設計されており、 改正案で求められるポイントに対応できる仕組みを備えています。
8-1. 比較に用いた情報がそのまま証跡になる
- 比較した商品と比較項目が、統一フォーマットで画面上に表示される
- 募集文書取得済みの比較表をPDF出力し、そのまま保存・印刷が可能
- どの商品を比較し、最終的に何を提案したかが一目で分かる
これにより、「どういう情報にもとづいてその商品を推奨したのか」を、 記録として残すことが容易になります。
8-2. 推奨理由の整理と説明がしやすい画面設計
- 保険料、保障内容、特約、給付条件など、重要な比較ポイントを標準搭載
- 顧客の意向に合わせた商品絞り込みができ、そのプロセスも明確
- 「この商品を選んだ決め手」が、画面上で説明しやすいレイアウト
個々の営業担当者の経験やスキルに依存せず、誰が提案しても一定レベルの比較・説明が行えるため、 組織としてのコンプライアンス水準を底上げできます。
8-3. ログとルールにより、PDCAを回せる体制づくり
- どのような商品が、どのような意向を持つ顧客に推奨されているかを可視化
- 本部・コンプラ部門が、実際の提案プロセスをモニタリング可能
- 社内規則に沿った運用ができているか、定期的な検証を実施しやすい
改正案で求められている「比較推奨販売に係る体制の整備・確認・改善」を、 システムとルールの両面から実現することができます。
9. まとめ:見直し案は「負担」だけでなく「信頼向上のきっかけ」になる
2026年頃に想定されている保険業法・監督指針の見直し、とくに乗合代理店に対する比較推奨販売の整理は、 一見すると業務負担の増加と感じられる側面もあるかもしれません。 一方で、提案プロセスの見直しや仕組みづくりを進めるきっかけとして捉えることもできそうです。
- 提案プロセスの透明性向上を通じて、顧客からの信頼を高めていくこと
- 募集人ごとの提案のバラつきを抑え、営業品質を均一化していくこと
- コンプライアンスと生産性を両立するための仕組みを検討していくこと
- 「顧客本位」の提案体験を、より実感しやすいものにしていくこと
制度の最終的な内容や詳細は、今後の公表・議論の動向を確認しながら判断していく必要がありますが、 早い段階から情報を整理し、自社の現状を振り返っておくことは、 今後の代理店経営にとって有益な準備の一つになり得ます。
執筆者:AS-BOX編集部(保険業界向けDXツール開発担当)
この記事は、保険業界での実務経験をもとに、複数名で内容確認・編集を行っています。