【AS platform】令和8年度からの私立高校無償化で教育資金のプランニングは楽になるのか

【AS platform】令和8年度からの私立高校無償化で教育資金のプランニングは楽になるのか

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共感と学びの募集人プラットフォーム AS platform 2026年5月15日掲載コラムをご紹介します。

令和8年度からの私立高校無償化で教育資金のプランニングは楽になるのか

昨今、子育てに関しての支援策が充実してきています。今回は、そのうちの一つ、令和8年度から始まる私立高校の無償化によって、高校卒業以降の教育資金の準備にどのような影響があるのか、具体的には大学資金を貯めやすくなるのかを考えてみます。

■高校時代にかかる教育費とは

高等学校の教育費は、小学校や中学校に比べて一般的に高くなります。義務教育ではかからなかった(私立小中学校を除く)授業料がかかることも理由の一つです。私立の場合は授業料以外の施設設備費なども支払わなくてはなりません。教育費の統計としては、文部科学省が隔年で実施している「子供の学習費調査」が参考になるので見てみましょう。

1年間あたりの教育費は、子どもの成長とともに高くなっていく印象を持つ保護者は少なくありません。
しかし、子供の学習費調査からもわかるように、公立同士・私立同士で比べると、必ずしも高等学校の方が高額になっているとは限らないのです。

教育費は必ずかかる学校教育費と、ある程度選択できる学校外活動費に分けられます。学校教育費は授業料や施設設備費等の学校に納める費用の他、制服代や通学費、寄付金なども含みます。学校外活動費は、塾や家庭教師の費用、体験活動や習い事の費用です。

学校教育費は、本来、公私立共に高等学校はもっと高額なのですが、高等学校等就学支援金制度(国による授業料支援)の実施によって家庭の負担は軽減されています。

 

■「私立高校無償化」で、全員が支払額ゼロになるとは限らない

令和8(2026)年度から実施の、いわゆる「私立高校無償化」は、高等学校等就学支援金制度の所得制限がなくなり、支給上限額が45万7,200円(高等学校通信制等は33万7,200円)となることを言います。

支給上限額は私立高等学校の平均授業料を勘案して決められており、子どもが通う高等学校の授業料額によっては全額を支援してもらえるとは限りません。
高等学校の授業料が支援上限額よりも高い場合、超過分はこれまで同様に保護者が支払う必要があり、「無償」とはならないのです。それでも、最大45万7,200円の負担がなくなるのですから、家計における効果は大きいものとなるはずです。
なお、授業料が支給上限額を下回っている場合の支援額は授業料の額までです。授業料と支援上限額の差額を受け取ることはできません。

 

■高校卒業以降に向け、支援金で助かる金額を具体的に理解する

高等学校等就学支援金制度の支援上限額が年間45万7,200円と目にすると、高等学校3年間では約137万円もの金額を受け取れそうな気がします。
実際、まだ子どもが幼い保護者の中には、この支援金のおかげで、大学進学費用のうち初年度納付金分は用意できたも同然と考える人がいました。

確かに、高校で必要な金額を全額負担するつもりでいる人、これまで支援の対象外だった場合はそのとおりです。
収入910万円以上の家庭は、新たな支給上限額の45万7,200円がそのまま支援額となるため、高等学校に支払う予定・支払っていた同額を預貯金することが可能でしょう。進学資金のためにしっかり取り分ける旨のアドバイスも有効と思われます。

すでに私立高校で就学支援金を受けている家庭についても、今回の上限額引き上げにより、実質的な支援額増が生じます。増額幅は世帯年収区分によって大きく異なるため、整理しておくことが重要です。

 

 

特に年収590万~910万円未満のゾーンでは、2年間で約68万円と支援額の増加幅が大きく、学資保険や積立型商品の必要保障額を見直すきっかけにもなり得ます。
なお、年収590万円未満の家庭では、今回の私立高校無償化による効果は比較的限定的です。進学に向けた教育費準備は、これまでと変わらずに計画的に行う必要があります。

 

■高校卒業以降よりも前、高校の費用準備も万全に

高等学校等就学支援金制度は学校納付金を対象とするものではなく、学校納付金の一部である「授業料」をその対象としています。
私立高等学校の学校納付金に占める授業料の割合はそれほど大きくありません。また、学校納付金以外で学校に通うために必要な通学費や制服、教科外活動費などは増える傾向にあるようです。
そのため、授業料以外の学校納付金についての負担は続きますし、これまでよりも金額が増える可能性があります。

次のグラフは、私立高等学校における教育費の推移です。学習費は大きく2つの費用に分かれます。
授業料や学校納付金等学校に通うために必要な「学校教育費」、補助学習費や学校外活動費等の「学外活動費」があります。直近の3回の調査は学習費総額が増加していることがわかります。

 

 

推移のグラフの最後、2023年度の私立高等学校の教育費の具体的な金額は次のとおりです。

 

 

私立高校無償化によって授業料は払わずにすむにしても、授業料以外の支払いはこれまで同様、家庭の負担であることは前述のとおりです。
この授業料以外の部分の支払いについて留意するようにアドバイスするのが従来でしたが、この授業料以外の部分に充てられる高校生等奨学給付金も令和8年より拡充されます。
また、都道府県などで高校生のための返還不要の給付型奨学金を利用できることもあります。これらの制度に該当する場合は、その利用を案内したいものです。

子どもが生まれてから大学・専門学校進学までの約18年間は、教育資金準備を計画的に行える貴重な期間です。利用できる制度を味方につけながら、長期的な視点でお客様の教育資金準備をサポートしていきたいところです。

 

<参考資料>

▶ 文部科学省_高等学校等就学支援金制度
▶ 文部科学省_子供の学習費調査

 

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この記事の作者
ファイナンシャルプランナー 菅原 直子
税理士用オフコン販売、外資系生保を経て現職。わが子の成長にあわせて教育資金や金銭教育に注力しつつ奨学金返還を抱えたり働けない子を持つ家族の生活設計を支援。Excelが好き。

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