【AS platform】所得税の『年収のカベ』・・・収入か、それとも所得か、それが問題だ!

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共感と学びの募集人プラットフォーム AS platform 2025年8月19日掲載コラムをご紹介します。

所得税の『年収のカベ』・・・収入か、それとも所得か、それが問題だ!

「年収が160万円以下であれば、所得税は課税されません」
令和7年度の税制改正で「年収のカベ」に係わる取扱が改正され、このような言い方がされるようになりましたが、この言い方は正しいのでしょうか?

『160万円』とは、何を指しているのでしょうか?まずは、所得税の仕組みから確認してみましょう。

 

所得税の計算のイメージ

所得税の額は、まず所得の計算をし、その所得から所得控除を控除した課税所得(課税対象)に税率を適用して算出されます。所得の額が所得控除の額以下(下図のカッコ内が0以下)の場合、課税されません。

所得は10種類あり、それぞれ計算が異なります。


また、所得控除は16種類あります。

160万円の収入で所得税が課税される場合、課税されない場合

以下のケースで、AさんとBさんに所得税が生ずるか否か確認してみましょう。
いずれも、所得控除は基礎控除のみとします。

【Aさんのケース】

収入:パート勤務による給与収入160万円・・・給与所得

Aさんの課税所得は下図Aさんのケースのように算出されます。
給与所得控除額は給与収入の額により算出され、Aさんの場合は65万円ですので、給与所得は95万円になります。(a)

次に所得控除である基礎控除の額は、所得の金額によって58万円から16万円に区分され、一定の所得以下の場合は加算があります。
Aさん(所得95万円)の基礎控除の額は、本来の控除額58万円に37万円が加算され、95万円になります。(b)

Aさんの課税所得(課税対象)・・・給与所得95万円-基礎控除95万円=0

従って、所得税は課税されません。(c)

【Bさんのケース】

収入:原稿執筆による収入160万円(経費30万円)・・・雑所得とします

Bさんの課税所得は下図Bさんのケースのように算出されます。
Bさんの雑所得は130万円となり(d)、この場合の基礎控除の額は95万円です。(e)

Bさんの課税所得(課税対象)・・・雑所得130万円-所得控除95万円=35万円

従って、所得税が課税されます。(f)

AさんとBさんの違い

AさんもBさんも収入は160万円ですが、所得の種類が、Aさんは給与所得、Bさんは雑所得であり、所得の計算が異なります。
また、それぞれの計算式を見ると、「収入」と「所得」は異なるものだと分かります。

そして、所得税が生ずるのは、『所得 > 所得控除』の場合であって、収入の金額で判定されるものではありません。「160万円」というのは、給与所得だけがある人について、課税が生じない所得の金額を給与収入ベースにした場合の数字です。
お客様と所得税のお話をする際は「収入なのか所得なのか」「給与所得なのかその他の所得なのか」に留意することが大切です。

<参考>国税庁HP
令和7年度税制改正による 所得税の基礎控除等の見直し等について(源泉所得税関係)

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この記事の著者
税理士 CFP 八ツ井 久嘉
税理士として中小企業の決算申告、CFPとして原稿執筆やFP向け資格講座・研修等の講師を務める。所属するNPO法人を通じて、こども食堂や高齢者向け施設のイベントの企画に携わる。

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